盗聴器とは、読んでその名の通り、盗み聞きをする為の機器の総称です。
盗聴器も多種多様なものがあ り、あくまでたとえ話ではありますが
広義には「壁にコップを当てて、壁の向こう側の音を聞く行為」も
盗み聞きともいえますのでこの場合はコップそのものが 盗聴器ともいえるのです。
盗聴器には内臓電池を使用してその電池寿命の範囲内で発信し続けるタイプと
付近にあるＡＣ１００Ｖ電源等（コンセント配線や通電している電化製品など）から
電気を盗んで、半永久的に送信を続けるタイプのものもあります。
無線式盗聴器
高性能マイクで周囲の音声を拾い集め、その音声情報をＶＨＦ周波数帯、あるいはＵＨＦ周波数帯を使用して電波に乗せて送信する小型の電波送信機を指します。盗聴者は、離れた安全な場所で、この盗聴器から発信される盗聴電波を受信して、盗聴を行います。無線式盗聴器は、簡単に説明するなら「超小型のラジオ放送局」と形容できます。
偽装型 無線式盗聴器
無線式盗聴器は偽装型と呼ばれる、日常生活雑貨に偽装したものがあります。有名なものでは、三又コンセント型のものや、延長コード型のもの、ＵＳＢケーブル型、パソコンマウス型、電卓型、折り畳み傘に擬態した物などがあります。この手の盗聴器は、マッチ箱程度のスペースがあれば、ありとあらゆる物に内蔵できてしまう危険性があります。
リモコン型 無線式盗聴器
無線式盗聴器に電源のオンオフ機能を搭載したタイプです。盗聴器設置者は離れた場所から、盗聴器専用の無線リモコンを操作して、設置した盗聴器を作動させたり停止させたりといった命令が可能になります。リモコン式の無線盗聴器の場合、電源オフの状態で は電波を発信していない為、その存在を探し当てることが困難になります。調査レベルの低い盗聴器発見業者ではそのまま見逃す事も考えられます。
スクランブル型 無線式盗聴器
通常の無線式盗聴器の場合、盗聴した音声情報を電波として発信する際、固定された１種類の周波数にて電波送信しています。このタイプの盗聴器は決まった１種類の周波数で盗聴電波を送信し続けている為、盗聴電波が発見業者や便乗盗聴者に、その存在を発見 され易くなる弱点がありました。スクランブル型の無線式盗聴器の場合は、その弱点を克服する為、盗聴情報を送信する際の周波数を、複数の周波数（４種類） に増やし、その４種の異なる周波数を１秒間に十数回という高速度で変化させる事によって、暗号化（スクランブル化）させて盗聴電波を送信する仕様にした盗聴器です。
専用受信器を使用する事によって初めて正常な音声受信ができるように設計されている為、専用受信機以外では盗聴電波の受信が困難になります。このタイプの盗聴器もリモコン型の盗聴器と同様に、調査レベルの低い盗聴器発見業者では発見できず、そのまま見逃す事も考えられます。
リモコン＋スクランブル複合型 無線式盗聴器
上記のリモコン型とスクランブル型の無線式盗聴器の機能を複合して装備する、無線式盗聴器です。盗聴器設置者は自らが使用したい時にだけ、遠隔地から盗聴器の電源を入れ、電源オフ時にはその痕跡を消し去ります。盗聴器が作動して電波を発信している際 も、スクランブル機能により盗聴電波が暗号化されて送信されてしまう為、その秘匿性は非常に高いといえます。
有線式盗聴器
高性能マイクで周囲の音声を拾い集めるところまでは無線式と同様ですが、音声情報を電波で送信する無線式とは違い、有線式盗聴器はその名称通り、長尺の有線ケーブルを使用して離れた場所から盗聴を行う盗聴器です。有線式 盗聴器は、簡単に説明するなら「コードの長さが数十メートルもある、イヤホン」と形容できます。
説明だけを聞くととても安直ですぐに発見されてしまいそう な気もしますが、盗聴器の高性能マイクは、小指の先にも満たない程の超小型サイズですから、実際のところ、発見はそれほど容易ではないですし、無線式盗聴 器と違い、電波を放っている訳ではないので、盗聴器の発見が無線式よりも難しい側面もあるのです。
電話回線使用型盗聴器
電話の通話内容を盗聴する為に使用される盗聴器です。電話線にある端子函と呼ばれる部分や、MDF（集中配線盤）の内部に設置されたり、分配器内部、保安器内部のヒューズに偽装して設置される場合もあります。
電話機までの配線の途中にワニグチタイプのクリップで接続しそこから半永久的に電源をとって電波を飛ばすタイプや、分岐アダプターや配線接続コネクター内部に内蔵される場合もあり、思いの 外、簡単に設置できる為、このタイプの盗聴器被害は多いのが実情です。
携帯電話併用型デジタル盗聴器
自動着信機能付きの携帯電話（音質・その他の問題で主にＰＨＳが使用される場合が多い）のイヤホン端子に高性能マイクを搭載した専用盗聴器を接続して設置、使用する方法です。盗聴器と接続した携 帯電話（ＰＨＳ）に、外部から電話を掛けると自動着信機能が作動し、連動して盗聴機が動作する事により、盗聴器が携帯電話機周辺の音声を拾い、その音声は そのまま携帯電話のイヤホン端子を通じて、電話をかけた側の電話機に受話音声として流される仕組みです。
このシステムが恐ろしいのは、一般的な無線式盗聴 器の電波送信距離が数百メートル程度であるのに対し、この盗聴システムは携帯電話機同士の通話によって盗聴を行うので世界の裏側同士でも携帯電話が使用 できる場所なら何処でも、どれだけ距離が離れていようとも盗聴ができてしまうところにあります。また、今、ご紹介したものは有線式盗聴器と携帯電話を併用して使用するシステムとなりますが、近年になり、無線式盗聴器と携帯電話を併用して使用するタイプの盗聴器も構築され、最も高性能な盗聴ツールとして注目 されています。
